余命告知から娘がこの世からいなくなる事を、自分に言い聞かせる日々が続いていた。
娘の前では笑顔で励ましながら、自分の心の準備をしなければならなかった。
なげやりな気持ちや考えしか浮かばなかった。

こんなにも、人間とは苦しみ、病み、死んでいくものなのか・・。なんの為の人生なのだろう・・。
娘がいなくなる事を認めなければという思いと、こんな現実は夢だと思いたい自分がいた。。

日1にちと死へ向かう娘の姿を母親でありながらただ見続けていることしかできなかった。
いつ来るのか、その日が・・という恐怖の思いの中にだけいた。

痛みと吐き気で眠れない日々が続き・・2週間と言われてから、2ヶ月もがんばった娘に
私も精神的にも肉体的にもゴールまで持ちこたえた。

最後は病室で添い寝をしていても、薬でウトウトしながらも苦しみと戦ってる我が子を、
見てることしかできない自分が悔しくて情けなかった・・。

今、私が倒れるわけにはいかない・・と、無理やり病院食を自分の口へ押し込んだ。
水さえ飲めなくなった娘に申し訳ないばかりだった。

苦しんでいる娘を見ていると、神も仏もなかった・・・。「もう少し頑張ろうね」としか言えない・・
怖くて目も合わせられない。死をさとられないよう演技する事が限界にきていた。

誰が何をしたというの?私のせい?だって娘は何も悪い事していない子です。
私を替わりに死なせてください!


そして、運命の日が訪れ、娘は安らかな微笑んだ顔で旅立った。

これで、やっと楽になれたね。もう苦しくないね、よくがんばったね。と思ってしまった。
お通夜、葬儀と私はただ、今何をするの?という思いだけで動いていた。

娘の遺体をさわる事はできなかった。
1年間毎日、体をさすって祈り、拭いてあげた、あのやわらかな暖かい女性になりかけた娘のきれいな体しか、
私は認めたくなかった。
固く、冷たい体なんて娘でない!。

その後、しばらくして、私は自分の心に驚いていた。あんなに心に準備していたつもりが・・。
予想とまったく違うものが押し寄せてくる。想像はしていたが・・あまりにも大きな苦しい波。
えっ、ホントに?どこにもいないの?会えないの?うそでしょ?
身体が震え壊れそうになる苦しみ・・・

あれがいけなかった、こうすればよかった、イヤイヤ運命だったんだ!
それにしても、かわいそうすぎる!この時代に。何で!何で!何で!・・・・・娘なの?
我が子が1番不幸だと思いたくない!短かったけどまだ幸せだったと思いたい・・・。

TVのお笑いや歌番組はいっさい見れない。何がおもしろいの?
出かければ、娘と同じ年頃の高校生がぎゃ〜と騒いでる。
やめて〜!とその場から逃げる。
思い出の曲がながれてくると、目まいがしてその場で座り込む。

何もしたくない。ただただ、娘があわれで1日中、大声で名前を呼び泣き続ける。
ごはんを食べる自分に腹がたち、何でたべられる?と。

私はこれほどまでに、娘を愛していた。元気な時は私の心の何%をあの子はしめていただろう?
亡くしてからしかわからないバカな母親だった・・。ごめんね・・ごめんね・・許してね。

何を見ても聞いても娘にむすびつけてしまう。まったく、すべてが変わってしまった!!

もうどうでもいい!!私もあの子のところへ行きたい。
私は十分もう生きたよ。この先に何があるのさ、現実は変えられない!この思いも死ぬまで続くのだ。

葬儀のあと、親しかった友からの連絡はなく、寂しい・・・。
親友だけは心配してくれたが、誰にも会いたくないといって断った。

一人、暗い宇宙に投げ出された気分だった。

外でバッタリ会った知人は真っ白になって言葉を失っているのがわかる。
こちらが作り笑顔で早々に立ち去る、疲れる。
堂々めぐりの日々を送っていた。
このまま精神がおかしくなりそうだった。
ただ、娘の苦しみとがんばりを思い出すと、私なんて苦しんでも生きてるじゃない!と思っていた。


そして、涙しない日はなくとも娘の幸せと安らぎを祈り続けていた。

しばらくすると不思議な導きにより感激の体験や出会いが私を待っていた。

                             



H14・7・20撮影 (H14・11・5旅立つ 香奈18歳)


3ヶ月がすぎた頃、この気持ちを誰かに聞いてほしいという思いが強くなってきました。
周りには誰一人として子供を亡くした知り合いはいません。

ある日、本屋さんで「空への手紙」という詩集のようなものを見つけました。
そこに全国の「子供を亡くした親の会」の紹介がったのです。

私の住む新潟県にもありました。
すぐに電話をしたら会長さんは親身にお話しを聞いてくれたのです。
初めて心に少しの暖かいのもを感じ、涙が止まらなくなりました。




私は、娘は絶対にどこかに存在すると信じたい、信じようと思いました。
だって、あんなに気持ちを交わした愛の絆がどうしてこの世界・宇宙のどこにもいないなんて・・。
そんなことは絶対にあってほしくないと思ったのです!

娘の魂が必ず存続してると信じ、毎日祈る日々を送りながらも
世界的にも有名な霊界通信などや臨死体験の本などをかたっぱしから取り寄せて読み、
娘のいる世界のことを知りたいと翻弄しておりました。


父や祖父母の魂、そして私の守護霊や指導霊の存在も信じ、
私のこの始まったばかりの娘を探す旅をどうかお導きくださいと強く祈りました。

そして導かれたとしか思えない出会いが待っていたのです。

  (その後の体験へ)